冬の森の中に、作られたきり、ひとりぼっちのゆきだるまがいました。

風の音の中で、さみしかった。

けれど動物たちが、春を探しにやってきて、

「春は、とっても素敵なんだ。」と教えてくれました。

ゆきだるまは、春に憧れるようになり、動物たちは春をみつけたら、

お土産を持ってくるねと約束してくれました。

別れたあと、またひとりぼっちになりましたが、もうさみしくはありませんでした。

そのうち、風が少しずつ変わりました。

鳥が歌い、ゆきだるまは春が近いのかなと期待します。

だけど…。

またある日、ついに春がきて桜が満開のころ、動物たちはゆきだるまとの約束を思い出します。

急いでお土産を持っていったけど、すでにゆきだるまは溶けていて…。

悲しんだみんなは、ゆきだるまがいた場所へ、お土産をそっと置いて悲しみました。

しばらくすると、山の上からゆきだるまを見つけたウサギが驚きます。

「ゆきだるまさんがいるよ!」

みんなはあわてて、あの場所へ行くとゆきだるまさんが立っていたあたりにたくさん咲いた白い花が。

それをゆきだるまと見間違えたのでした。

ゆきだるまがくれた春の贈り物があったことにも、

動物たちが待ち遠しかった春にも、別れの悲しみだけではないこと。

一緒に春を過ごせなかったけれど、みんなの優しさは溢れていたことに感動しました。

この本を選んだきっかけは、雪がめったに降らないのを、

いつ降るかと待ちぼうけていた、うちの七歳の子どもにX’masプレゼントに贈ったものです。

<娘や息子が読み終えた本をリユースします。>